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●疾患としての1型DMの特徴

まず、疾患としての1型DMの特徴ですが、以下のような点が挙げられると思います。すなわち、

・発症以後、一生涯にわたる加療が必要
これは膵腎同時移植や膵島(ラ氏島)移植などの方法もありますが、それも今のところまだ完璧ではありませんので、やはり現時点では発症した方全てに当てはまると思います。

・生命維持のためインスリン注射が不可欠
…当たり前すぎていつもは忘れている方もおられるかも知れませんが、我々が生きていく上での大前提です。

そして
・良好な血糖コントロール維持が難しい
僅かでもインスリンの自己分泌が残っている場合は比較的コントロールしやすいのですが、ラ氏島が廃絶するなど、インスリン分泌が完全に枯渇している場合、良好な血糖コントロールを維持することはかなり困難です。特に「ブリットル型」と呼ばれるような病態の方は、食事と注射の量を調整しても血糖が乱高下し、これを安定させるのは至難の技です。

・患者の絶対数が少ない(約5万人?)
これも、文献や資料を調べても、なかなか確定的なことは判りません。この5万人とは、小児1型糖尿病患者数は「糖尿病治療事典」p14小児糖尿病の疫学 2全国小児糖尿病患者の有病者数(医学書院)と、成人1型糖尿病患者数は「平成6年度糖尿病調査研究報告書」(厚生省)を参考にしたものです。

・社会的認知度が低い
単にマイナーなだけならまだその方が救われるのですが、「生活習慣病」の2型DM、いわゆる一般の方にとっての「糖尿病」と混同して認識されることが多いのは、皆さんも経験済みかと思います。もちろん2型DMも、インスリン抵抗性の問題があったりインスリン依存型になる場合があったりと、決して簡単だったり深刻でなかったりする訳ではありません。2型DMには2型DMの不安と苦労があります。しかし、それぞれの典型例では、明らかに病態と必要な治療方法が違ってきますので、この辺り何とか解決を図ってもらいたいのは事実です。