ITコミュニティの役割と展望 01

はじめに
 Webや掲示板、MLなどインターネット上にしか存在しないヴァーチャルなコミュニティにおいて、DM医療に対して患者自身が果たし得る役割と、今後の展望はどのようなものか。著者のこれまでの活動を通して、個人がITを活用してDM医療をサポートする際の可能性と限界を探る。

概要
 筆者はIDDMに関するWebページ(http://www.joho-kyoto.or.jp/~iddm-net/)と、同じくメーリングリスト(iddm-mailnet@freeml.com、以下MLと略)を、それぞれ1997年と1998年から運用している。この8月24日までのWebの累積ヒット数は7万7346件、MLの登録者数は362名で、これらの数字は、IDDMに提供されている医療サービスが未だ十分ではないことを少なからず物語っているのではないだろうか。
 さて、これらの方々がアクセスしてこられる目的は、日常場面での血糖コントロールのノウハウや、IDDMを自己受容するための考え方の交換などが挙げられるだろう。このうち患者個人としてフォローできるのは、医療機関での提供が難しい、実践的な対応方法やメンタルなサポートを伴うコミュニケーションが対象になると考えられる。
 しかし、1998年の初め頃から、それに加えて医療制度の運用についての相談が相次ぐようになり、患者の一人としてもそうした問題を看過できない状況となってきた。
 現在IDDMにとってはインスリン強化療法が最もコストパフォーマンスの高い治療方法であり、これは現行制度で十分実行可能である。ところが実際には、医師の勉強不足、あるいは医療機関の経営判断によって、そうした医療サービスを受けられない「不運な」ケースがかなり存在することが判ってきた。つまりこれは、IDDM医療について、個人の力だけでは対応しきれない、制度上の問題が顕在化してきたことを意味する。
 そこで今回、IDDMを中心とする本メーリングリストの参加者が、そうした制度上の問題を実際はどのように捉えているのか、また日常生活を送る上で何を問題と感じているのかについて、簡単なアンケートを実施して調査した。その主な結果は以下に示す通りである。

アンケート調査結果
●アンケート概要
 実施期間:2001年8月6日〜2001年8月18(土)
 実施対象:IDDM-Mailnet参加登録者(362名)
 回答者数:47名(回答率12.9%)
●DM回答者(45名中)平均値
 男女比率:女性20名、男性25名
 平均年齢:33才10カ月
 発症年齢:25才5カ月
 経過年数:8年5カ月
 HbA1c:6.8%
 注射回数:3.8回(CSIIは除く)
 注射単位:41.4単位 
 合併症有無:有り→9名、無し→36名

PREV》 NEXT 》