●糖尿病(高血糖症)性腎症
【とうにょうびょう(こうけっとうしょう)せい・じんしょう】
(疾患名)
英: diabetic nephropathy



糖尿病性神経障害(→)、糖尿病性網膜症(→)と並ぶ、糖尿病の慢性合併症のひとつ。

腎臓は、身体の中で不要になった老廃物を含む血液を濾過(ろか)して、老廃物を尿として体外に排出すると共に、きれいになった血液を体内に戻す役割を持つ臓器である。このプロセスにおいて血液を濾過しているのが腎臓内の糸球体と呼ばれる部位であるが、糸球体は毛細血管の塊でできているため、高血糖状態が長く続くと血管障害を惹き起こしやすく、血管障害が現れると濾過機能が低下し、最終的には人工透析が必要となる。

糸球体が正常に機能している状態では、身体に必要なたんぱく質が外に漏れないように調節されているため、腎症の検査としては尿に微量アルブミン(たんぱく質の一種(→))が出ていないか、また、更に進んでいる場合(顕性腎症前期)は蛋白尿が出ていないかを調べることになる。糖尿病で通院している場合は、定期健診で検査されることが多い。

治療としては、微量アルブミンが検出される段階(早期腎症)で発見し、血糖コントロールを厳密に行い、食事も低ナトリウム・低タンパク食に変更するなどの対処を行うことで悪化を食い止めることが最良である。

更に病状が進み、腎不全の段階になると、人工透析を行うことになる。1997年までは人工透析の導入原因の1位は慢性糸球体腎炎であったが、98年以降は糖尿病性腎炎が1位になっており、1年に10,000人以上の糖尿病性腎炎による透析導入患者を出している。

なお、現在透析導入となった場合、1級の身体障害者として認定されるため、透析に関わる治療費の自己負担は無料となる。ただし、実際に拠出される医療費は月あたり50万円、年額にして600万円を必要とするなど、その費用は莫大なものとなり、医療費を圧迫する大きな要素のひとつとして、抜本的な対応が求められている。

糖尿病性腎症病期分類

病期

尿蛋白(アルブミン)

治療方法

腎症前期

正常

血糖コントロール

早期腎症

微量アルブミン尿

厳格な血糖コントロール、降圧療法

顕性腎症前期

持続性蛋白尿

厳格な血糖コントロール、降圧療法、蛋白制限食

顕性腎症後期

持続性蛋白尿

降圧療法、低蛋白食

腎不全期

持続性蛋白尿

降圧療法、低蛋白食、透析療法導入

透析療法期

透析療法中

透析療法、腎移植