●レセプト
【れせぷと】
(一般名)


 レセプト(診療報酬明細書)とは、医療機関が保険者(保険機構)に医療費を請求する際に提出する明細書である。

 個人が医療機関で医療行為を受けると、その医療費は次のような流れで決済される。

1) 個人がその場で支払う自己負担の額
2) 自己負担以外の額は、支払基金による審査を経て、個人が加入する保険者(健康保険組合等)から医療機関へ支払われる。

 この保険者に対する請求明細がレセプトである。

 レセプトは支払基金によって点検されているが、保険者(健康保険組合など)は、審査後のレセプトをさらに点検し、過誤請求については再審査請求をしている。点検を行う理由は、審査機関が取り扱う年間のレセプト枚数や請求額が余りに多く、審査が未だに目視検査で行われているため、過誤請求等が多く見逃されている事実があるからである。保険者はレセプトを厳密に点検すればするほど負担額を抑制できるので、点検を行っている。

 また、レセプトを見れば、処置や検査、薬剤などの名前や数量の「単価」が書かれており、医療機関で受けた医療の内容が全て分かるので、診療内容に疑問があったり、インフォームド・コンセント(あるいはインフォームド・チョイス)が徹底されているかどうかを検証したり、また不正診療(→)が行われていないかどうかをチェックするためには、非常に有効な手段となる。以前は患者には開示されなかったが、国は1997年に保険者が医療機関に「病名告知」が終わっているかどうか確認するとの条件付きで開示を認めた。2003年4月には遺族の請求なら無条件に認められることになり、2000年度には約1万2000件の開示があった。ただし、年間に発行されるレセプトが約3億枚に上ることを考えれば、まだこうした動きは十分には浸透していない。健保組合などによるチェックで発覚した不正請求は2002年度で約42億円にもなる。また、医療過誤訴訟の提訴は年間約900件、医療事故による死亡者は年間約2万4000人との推計もあることなどから、領収書がもらえなかったり、領収書と医療費通知の金額が異なるなどの場合には、健保組合などの保険者に対し、レセプト開示を請求するよう求めるべきであろう。

 なお、カルテ開示とレセプト開示には本質的な違いがある。カルテ開示は医療ミスの隠ぺいを防止したり、患者側が事故の真相を知る手助けになる。これに対し、受けた医療の「単価」が書かれているレセプトは、使い方次第では、歪みの多い診療報酬制度を矯す可能性を秘めている。単にカルテを開示するだけなく、受診の際にレセプトが病院の窓口でごく簡単に受け取れるようにすれば、患者の価値観を診療報酬に反映させる道が拓けていくことが期待される。