インスリン抗体(インスリン自己抗体)
【いんすりんこうたい(いんすりんじここうたい)】
(一般名)
(英:Insulin Auto Antibody)



 抗体とは、細菌やウイルスなどの異物が体内へ侵入した際に産生されるタンパク質のことで、次に同じ異物が侵入した場合には、すぐにそれを排除するように働く。本来、抗体は身体を守るために産生されるが、これが自分の身体に対して反応してしまうものを自己抗体と呼び、インスリンを異物として排除しようとする抗体をインスリン抗体(またはインスリン自己抗体)と呼ぶ。

 インスリン抗体には、治療のために投与されたインスリンに対して産生されるものと、自己免疫機序により産生されるものの2種類がある。

 インスリン投与中のDM患者の血中にはインスリン抗体が出現するケースがある。これは治療を阻害する要因ともなることから、定期的なスクリーニングが重要である。

 一方、インスリン投与の経験がないにもかかわらず、血中に抗インスリン抗体が認めれるケースとして「インスリン自己免疫症候群」が知られている。これは低血糖を生じる点が特徴であり、DM治療のために投与される外因性インスリンに対して産生される抗体が低血糖を生じないこととは、大きく異なっている。インスリン自己免疫症候群において検出される抗体は、一旦結合したインスリンを再び遊離するため、それによって自発性の低血糖を惹き起こすのではないかと推測されている。しかしながら、それぞれの抗インスリン抗体におけるインスリン親和性の違いは必ずしも証明されている訳ではなく、低血糖の発現機序についての結論は得られていない。いずれにせよ、血中に抗インスリン抗体が存在する場合、インスリンの測定値に干渉するため、本来のインスリン値の測定は困難となるので、注意が必要である。

参考: http://www.okayama-u.ac.jp/user/hos/kensa/tousitu/iriab.htm