●インスリン
【いんすりん】
(一般名)
(英:Insulin)



インスリンとは、膵臓のランゲルハンス島β細胞(→)から血液中に分泌されるホルモンのひとつである。人が食べ物として米や小麦などの炭水化物を摂取すると、炭水化物は消化酵素により分解され、最終的にブドウ糖となって血液中に取り込まれる。そして血液中のブドウ糖は、インスリンの働きによって筋肉や細胞に取り込むことができ、そこではじめてエネルギーとして利用できるようになるので、インスリンは「血糖値を下げるホルモン」として知られているのである。なお、人間の体内に存在するホルモンのうち血糖値を下げる機能を持つホルモンは、このインスリンのみである。

糖尿病とは、このインスリンの「効き」が悪くなったり、β細胞からの分泌が減少または枯渇することにより、血液中の糖分が細胞内に十分に取り込まれなくなる疾患であり、その結果として高い血糖値が長期にわたって持続してしまう状態を指す。

現在では、インスリンはバイオテクノロジーを利用して人為的に合成できるようになっており、DM患者は、その最も直接的な治療方法のひとつとして、インスリン注射をすることで高血糖状態を緩和することができるようになっている。