●ED
【いー・でぃー】
(疾患名)
(英:Erectile Dysfunction)



男性の勃起機能の低下のこと。性交時に十分な勃起が得られない、あるいは十分な勃起が維持できないため、満足な性交が行えない状態を指す。従来は「インポテンス」とも呼ばれていたが、これは「性的不能」、すなわち人として本来備わっている能力が失われていることを意味し、これらの悩みを持つ患者への思いやりに欠ける言葉であるとされるため、現在はこちらの「ED」と表現されるケースが多くなってきている。

研究によっては、糖尿病(高血糖症)の男性のうち約20%〜約60%がEDとされているが、これはあくまで2型DMの男性に当てはまるものであって、そのまま1型DMの男性に当てはまるかどうかについては、現段階での詳細な研究はないので正確な状況は不明である。患者の年齢や、自律神経障害、末梢神経障害などの合併症の有無が、EDの発生の危険因子と考えられているので、血糖コントロールが悪い状態が長期間続いた場合、特に問題になってくるものと予想される。

また、糖尿病(高血糖症)によって影響を受ける男性機能障害には、射精時に精液が膀胱に向かってしまう逆行性射精などの射精障害や、極致感を感じなくなるオーガズム障害なども含まれる。これらは直接生命に危険を及ぼすものではないが、QOL(→)の低下や、女性を妊娠させる能力の低下、そして場合によっては社会生活にも深刻な影響を与える場合があるので、本人自身はもちろん、家族や医療関係者においても慎重な対応が望まれる。

最近では、その有効性が評価され、EDの治療にはバイアグラ(クエン酸シルデナフィル)やレビトラ(塩酸バルデナフィル)などのPDE5阻害薬が使用されるようになってきたが、糖尿病(高血糖症)の男性患者における実際の有効性は約60%前後との報告もあり、全ての場合において万能な訳ではない。逆に、これらを服用して効果がなかった場合、患者の悩みはさらに深刻になるとの研究結果もある(British Medical Journal OnLine)など、事後の対応も含めてフォロー態勢を整えた上で処方を受けることが必要であろう。

陰茎海綿体のホスホジエステラーゼ タイプ5(PDE5)を選択的に阻害することにより、非アドレナリン非コリン作動性(NANC)神経及び陰茎海綿体内皮細胞由来の一酸化窒素(NO)のcGMPを介する陰茎海綿体の弛緩反応を増強し、陰茎勃起を誘発ないし増強することを目的とした薬剤。ただし、「性欲増強剤」ではなく、あくまで中枢神経が性的刺激を受けたときの自然な反応を補助するものであり、性的刺激のない状態では効果は発現しない。

【参考文献】
ファイザー製薬「EDについて」(http://www.ed-info.net/
DITN No.319「糖尿病とED」
日経ヘルスホームページ(http://medwave.nikkeibp.co.jp/show/nh/news/301210