●HLA抗原
【えっち・える・えー・こうげん】
(一般名)
(英:Human Leukocyto Antigen)



 組織の細胞表面には、同種でも固体毎に異なった抗原が存在し、他の固体の細胞を移植するとその抗原に対する免疫反応が生じて拒絶反応が起きる。このような抗原を組織適合遺伝子複合体と呼ぶ。その中でも特に強い移植免疫反応を起こすものは、染色体上の一部に存在する遺伝子群により発現し、これを主要組織適合遺伝子複合体:MHC(Major Histocompatibility Complex)と呼ぶ。ABO型抗原もMHCの一種である。また、ヒトのMHCは第6染色体短腕上にあり、これをHLA(Human Leukocyto Antigen)と呼び、この遺伝子がコードする遺伝子産物がHLA抗原である。この遺伝子領域はHLA遺伝子領域とも呼ばれ、そのうちHLA-A、B、DRの3個組2セット(6個の遺伝子群(約4,000kbp))は、移植免疫反応における移植抗原として重要であるとされている。

 HLAの機能としては、自己・非自己の認識(HLAと抗原をT細胞が認識する事による)、同種移植片の拒絶であるため移植や輸血の適合において重要であるが、その特徴として、乏しい多型性・人種による抗原頻度の多様性・連鎖不平衡(後述)などがあるため、疾患感受性との相関、法医学(個人識別・親子鑑定)、人類遺伝学(集団の特徴付け・近縁性の解析)においても利用されている。

 HLA抗原は、細胞表面上に発現している細胞膜抗原であり、その機能と構造によりclassI抗原とclassII抗原に分類される。classI抗原は、T・B細胞の他ほとんどの有核細胞表面上に発現しているHLA-A、B、C抗原系と、HLA-E、F、G抗原系がある。(Gは胎盤のtrophoblastに存在し母体と胎児の免疫反応を制御しているらしい)一方classII抗原はB細胞・マクロファージ・単球・精子・活性化T細胞・樹状細胞など、限られた細胞に見られHLA-DP、DQ、DRなどがある。


参考: http://www2d.biglobe.ne.jp/〜aquila/medical/p11/m119.html