暁現象
【あかつき・げんしょう】
(症状名)
(英:Dawn Phenomenon)
[類→ソモジー効果]



早朝の睡眠中(あるいは起床時間前)・空腹時の時間帯に生じる特異的な血糖値の上昇のこと。名称は、この症状の発現する時間帯が「夜明け(Dawn)」頃であることに由来する。

この暁現象は、ヒト成長ホルモンなど、体内時計に基いて早朝時に活発に分泌される各種ホルモンの影響によるもので、健常者の場合でも同様の現象は起きているが、これに応じたインスリンが分泌されるので血糖値は通常範囲内に抑制され、問題となることは無い。これに対し、1型DMではその傾向が増幅して現れるケースが多く、就寝前に投与した速効型あるいは中間型インスリンの作用が切れてくる時間帯と重なったり、特に膵臓のβ細胞(→)が廃絶しインスリンの自己分泌が全く0になっている場合には、血糖値の上昇は顕著である。

従来は中間型インスリンの投与時間・量の調整で対応を図ることが多かったが、抜本的な対策としては注入量がプログラムによって変更可能なCSII(→)などを使って、持続注入するインスリン量を起床直前の時間帯に合わせて増やすなどの方法しかなかった。しかし、日本でも2003年12月より超持続型インスリン「ランタス」(→)が保険薬として認められ、この製剤を使えば暁現象はかなり緩和されるようになった。ランタスは、基礎分泌相当分をほぼ補完できるタイプのインスリンだからである

なお、夜間の就寝中に微弱な低血糖を起こし、それに対する反動作用として肝臓での糖新生(→)が生じ、血糖が上昇するソモジー効果(→)があるが、この暁現象とは原因が異なるので、両者は区別して考える必要がある。

参考: http://www.furano.ne.jp/utsumi/index.html
http://www.banyu.co.jp/health/life3/02/s013.html
http://www.club-dm.jp/novocarefriends/29/zemi/
http://www.dm-net.co.jp/seminar/jiten/jiten.htm