「タイムトラベル in KYOTO」は、「平成6年度文部省開発委託学習用ソフトウェア」として開発された、新学力観に基づく社会科・歴史科の学習用ソフトウェアです。 |
1,新しい学力観
国立教育研究所所長 菱村幸彦先生は、これからの学校教育では、子供達の「個性を尊重し、独創性を育て、自分の意見を表現する力を育てる必要がある」と述べられています。
また、新しい学力観に沿った授業について、文部省小学校課指導係長 吉富芳正氏は、こう述べられています。「子供達にとって、様々な対象と出会い、進んで関わりを深め、自分の考え方や感じ方、表しかたなど自分らしさを発揮して課題の解決に取り組む場であり、その過程で心を豊かにしたり、自らの高まりを感じたりする場でもある」
この度、私共が開発した「タイムトラベルin KYOTO」は、まさにその学力観と、授業展開をソフトウェアとして表現したものだと申せましょう。
2,ソフトウェア開発のコンセプト
従来の学習用ソフトウェアは、思考過程をフローチャート・プログラム化することによって作成されており、子供達が自らの力で課題を見つけたり、その課題解決を図ることは困難であったといえます。
今回私共は、ソフトウェアを開発するにあたって、1つ1つの歴史的事象をデータとして扱い、事象の前後関係を有機的に結び付けるマルチリンク構造を採用しました。
この構造によって、断片的な知識や記憶をもとに、興味ある情報を中心に調べ、それについて自ら考えをまとめたり、一つの体系的な知識を獲得していく学習を可能にすることができます。
「タイムトラベル in KYOTO」によって、子供達の興味、関心を生かし、それをもとに歴史的事象や事実がどのように関連付けられているかを自ら考えることができるようになると考えます。
3,情報の量と質
ソフトウェアが、学習用教材として、子供達の興味を持続させ、知的好奇心を満足させるためには、そこに含まれる情報の量と質が共に不可欠であり、その一方が欠けても、学習を真の意味で成立させることはできません。
本ソフトウェアにおける情報の「量」につきましては、520Mもの膨大なデータ(テキスト、音声、映像、写真、イラスト、効果音)を収めてあります。
これは、大容量のCD−ROMだからこそ可能になったことです。
また、情報の「質」につきましては、家元など文化継承者や各博物館の研究者のご協力により、国宝や重要文化財をはじめとする、貴重な資料を収録することができました。
例を挙げますと、
裏千家・・・天目茶碗・千利休関係の蔵書
池 坊・・・・最古の花伝書及び復元による「供花」等
金剛流・・・家元による舞、「雪の小面」、装束等
NHK・・・・大河ドラマの映像(抜粋)
その他・・・社寺仏閣・博物館の美術工芸品等
といった資料が収録されています。