中信サクセスウェイ 1996年8月号

目眩く快感!

本物との出会い
タイムトラベル in KYOTOで
室町時代の京都を探訪

すでに教育・行政をはじめ、マルチメディア関連や伝統産業など各界に名を馳せた株式会社アクトを、大宮通り札の辻に訪ねました。

ACTグループ

 アクトは、株式会社秋田製作所をはじめとするファクトリーオートメーション関連6社の統括管理を行うとともに、独自業務として、工場の自動化のコンサルティングや新製品の開発販売などを行っています。
 ちなみに、グループ企業各社は次の通りです。

  • 林電気(株)
  • 京伸技研
  • (株)サンアイ設計
  • (株)タックテック
  • (株)アクト
  • (株)秋田製作所

九条塔南小学校

 ファクトリ−・オートメーションのアクトと、歴史学習ソフトの開発となると、少なからず素朴な疑問が生じます。このあたりを社長の秋田氏に尋ねると、いとも簡単に、「向かいの小学校のPTA会長だったから・・」と言う。これほどのコンテンツが、それたけではないと思ったとおり、契機と決断には地縁・人縁の背景があった。
 きっかけは、文部省委託事業である学習用ソフト開発委託先募集の記事を同社社員が目に留めたことから始まった。そして、「知り合いに教育関係者や大学教授もいるから」と具体的な動きが始まった。蓋をあけてみると、全国からの応募は98グループ、当然応募者の顔ぶれは日本を代表する蒼々たる名前が並んでいた。そして結果は、大手パソコンメーカー各社や学習出版社と伍しての受託となった。

開発委託費2000万円

 「委託を受けたものの、とてもじゃないが」と、いったんは企画返上が検討されたが、そこはバイタリティーと情熱が勝り、全社あげてのプロジェクトがスタートした。
 具体的には、著作権の壁、当然といえば当然だが、収納データ1件につき何万円もかかるのが常識である。シナリオ作成・撮影・構成・編集・・・と続く作業に経費が見込まれ、著作権関係への資金的余裕はなかった。しかし、ここからがベンチャー企業経営者の真骨頂で、「子供の教育に」のキーワードで、もてる熱意のすべてをつぎ込んだ交渉が行われた。シナリオにあがった約230項目の映像取得には、自ら説明を行い、説得し、名所旧跡、伝統産業、伝統芸能、テレビ、映画・・・などなど多方面にわたっての交渉となった。
 予算不足を数字以上にカバーして、かつ充実した内容にできたものも、心底から教育に意を持ちPTA活動を行ってきたところからの支援・援助も大きいという。
 はじめはCD-ROMが、何か、皆目見当もつかないような人々も、社長の熱意に共感し、非公開、秘蔵、再現、出演と京都の伝統世界あげてのバックアップが実現してしまった。
 具体例をあげると、寺社仏閣・名所旧跡、非公開の建築・所蔵物、重要文化財・国宝−−−などの実写や映像の特別提供の実現。
 伝統芸術に関しては、最古の花伝書に基づき再現した生け花(池坊)、貴重な茶屋の披露(裏千家)、家元の舞(金剛流)、ルイス・フロイスに扮して和室ミサを行った神父。
 動画資料としては、NHKや東映から迫力あるシーンが提供されている。
 この間、FA関係のソフト受注を謝絶してのアクトではあったが、熱意に共鳴した多くの方も、無償・手弁当の熱の入れ方だったという。時代考証やナレーション、説明文などを作成していく過程での著作権やオリジナリティの確立にもボランティアの輪が広がり、教育関係者やカメラマン、演出家、弁護士などが多数参画しての創造となった。

株式会社アクト 〒601 京都市南区西九条御幸田町30 TEL075-671-9873 FAX075-671-7556
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