日本教育新聞 1995/6/24日号

ソフト活用マニュアルを作成

日本教育工学振興会

「新学力観」の授業で

選択・購入から実践まで

 学校にコンピュータが入ったものの「どんなソフトを、どんな場面で使えばいいのかわからない」というのが大多数の現状。しかも、イメージする「学び」の姿によって、使い方や指導方法を選択することが必要だ。そんな現実的なニーズに応えようと、文部省の委託を受けて(社)日本教育工学振興会(宮島龍興会長)は「新しい学力観」にたつコンピュータの活用マニュアルを作った。学力観・学習指導形態と市販ソフトの関連表によって、授業像をイメージしながらソフトを購入する際に役立ちそうだ。

 同振興会は6年度に「中学校における新しい学力観にたった能力・態度の育成のためのコンピュータ活用のあり方」を研究。5月30日にその成果発表会を開いた。『授業における教育用ソフトウェアの活用マニュアル』(A4判、196ページ、1,500円)は、その研究成果の1つ。坂元昂・大学入試センター副所長を委員長とする運営委員会がまとめた。
 それによると、成果の目玉は「新しい学力観・学習指導形態と教育ソフトウェアの関連」を示した表。中学校の9科目と特別活動ごとに全部で10作成された。
新しい学力観・学習指導形態と教育用ソフトウェアの関連 表は縦軸に学力観ごとの観点(皿に詳しい観点項目)を配し、横軸には学習内容や利用形態(一斉、グループ、個別、ペアワーク)を配した。そのクロス上にソフトウェアの種類をならべることで、目指す学習に必要なソフトが一目瞭然になる仕組み。さらに10教科ごとに詳しい37の実践事例を紹介している。 たとえば室町幕府が崩壊してく過程に「民衆の成長」があるが、その背景に農業生産力の向上によって民衆の自治が発達し、招宴制が崩れ、郷村制が成立していった歴史的事象がある。ただ、一斉解説的に授業を進めるのではなく、子供が自由に探求する学習をしたいとき、どうするか。
 活用マニュアルに紹介されているのは「タイムトラベル in KYOTO with GPS」というソフト。説明によると二次元的な地形上の位置を確認しながら時間(歴史)を移動し各スポット、各時代の歴史と場所を、自分なりの課題をもとに検索(追求)することができる三次元的なソフトウェアである」という。
 このソフトは文部省の委託によるプロジェクトチームが作成したマルチメディアソフトで「今後の学習ソフトウェアの方向を示唆するもの」として紹介されている。
 表のマトリクスに配置されているソフトは基本的に応用、学習指導用、学習計画用で全部で32種類に分類されている。

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