「やさしいアクセス、価値ある情報、広がるネットワーク」
このスローガンは、府内中小企業に 「より親しまれるKIICづくりを行い」「本当に役立つ情報の提供と活用の支援を行い」「様々な活動を通じてネットワークを広げること」を目指している。
KIICが、現在実施している事業を大きく分類すると、以下の4つに整理することができる。
@ 情報創出・提供事業
A 情報化促進支援事業
B 経営相談事業
C 人的交流促進事業(ヒューマンネットワーク)
これらの事業は、中小企業の振興、育成という面において大きな役割を果たしてきた。
しかし、中小企業を取り巻く環境は、近年より複雑化し、中小企業が求めるニーズも多様化、
高度化してきている。特にKIICには、府内中小企業への情報化に関する中核的支援機関としての
役割が期待されている。
このような現状とACT21の成果を踏まえ、21世紀に向けてKIICが重点的に取り組むべき施策を次の2点に絞り込んだ。
KIIC21の重点施策
@ インターネット活用促進支援の強化
A 人的交流促進の強化
「インターネット活用促進支援の強化」は、「ACT21」では、「情報ネットワーク」の構築支援の中で位置付けられてきた。
また、近年は、情報通信技術(IT)の革新とあいまって、インターネットが急速に普及してきており、
その活用如何が企業の競争力を大きく左右するとも言われている。
KIICでは、これらの動きに焦点を絞り、より緻密な支援活動を展開する必要がある。
「人的交流促進の強化」という施策も「ACT21」において4つの方向の1つとして取り上げられたものである。
特に近年は、企業間競争がますます激化し中小企業が自社の枠内だけで事業を維持し拡大していくことが困難になってきており、
人的交流活動の促進によるヒューマン・ネットワークの形成がますます重要になってきている。
これらの2つの重点施策は、いずれも中小企業の強化を目指すものであり、表裏一体の関係で進めなければならないものである。
すなわち、「インターネット活用促進支援の強化」によって、
中小企業者のインターネット活用率が高まり、人的交流の可能性を大きく広げていくことになる。
また、「人的交流促進の強化」は、インターネット活用ニーズを喚起し、インターネットの活用を促進していくことになる。
なお、冒頭にあげた現在の4つの事業は、上記の2つの重点施策の下で実行していく。
3.インターネット活用促進支援の強化
インターネットのビジネスでの活用は、今後急速に広がっていくことが予想されている。
すなわち、インターネットを介しての電子商取引・企業間取引は年々倍増の勢いで広がっており、
これらへの対応ができなければ、企業として生き残っていくのが難しいとさえ言われている。
KIICとしては、このような状況を踏まえ、中小企業の情報化を引き続き支援するとともに、
特にインターネットをビジネスの中に積極的に取り入れ、効果的に活用できるよう支援を強化する。
(1)インターネット活用支援
@ ホームページのコンテンツ作成支援
ホームページの有効活用に向けたコンテンツ作成に関する支援を行う。
A 中小企業の情報発信支援
「京都メディアステーション」(KIICのホームページ)の仕組みを改善し、中小企業の情報発信を支援する。
B 情報化セミナー・交流会の開催
経営者及び幹部の情報化に対する意識を高めるためのセミナーや先進事例普及のための交流会等を開催する。
C 情報リテラシー向上のための講習会の開催
初心者向け入門講座、情報技術者向けの専門講座を適時開催し、中小企業経営者及び社員の情報リテラシーの向上を図る。
(2) ビジネス活用研究活動
@ インターネット活用事例の研究
インターネットの最新活用事例、ネットワークの普及に伴う不正アクセスの防御、認証サイトの構築などの事例研究を行う。
A インターネットビジネス等の研究
インターネットを活用したビジネスに関する最新の事例(電子商取引、企業間取引等)を研究するとともにその普及を行う。
B 京都府内中小企業の情報化実態調査
京都府内の中小企業を対象に、随時、インターネットの利用・活用状況、またニーズについて、実態調査を実施する。
(3)行政ネットワーク連携支援
@ ワンストップ・サービス支援
中小企業に役立つ国・府などの制度・施策に関し、ホームページからの情報発信を強化、充実する。
A 府内機関ネットワークの整備支援
京都府関係機関、商工会議所、商工会、市町村等とのネットワーク連携を強化、充実する。
人的交流促進に関しては、効果的な交流活動を企画・コーディネートすることにより、「人的ネットワークの形成、事業の強化、新事業の創出支援」を目指す。
その活動形態は、大きく以下の3つに分けることができる。
(1)相互交流活動
イベント等を通じて新しい出会いの場を提供する。
@ 交流会の企画・運営
中小企業者等が抱える様々な悩みや課題の解決に向けて、
相互にアドバイスや意見交換を行う交流会を企画し運営する。
(例)「夢現の会」、「工場見学会」など
A 異業種交流グループの交流促進
異業種交流グループ同士の交流促進、異業種交流ネットワークの充実に向けた活動を支援する。
(例)「京都府異業種交流会連絡会議」など
B 産学官の交流活動促進
産学官の情報交流を活発化させ、コーディネートできる場を設定し、活動を支援する。
(例)「産学官交流事業」など
(2)事例研究活動
@ 事例研究部会の企画・運営
「国際化」「情報化」「環境問題」など特定のテーマを取り上げ、最新事例の研究等を行う場を提供する。
(例)「パソコン活用部会」「エコビジネス部会」「国際交流部会」など
Aセミナー・見学会・イベントの開催
近年の環境変化に対応していく上で特に重要なテーマを取り上げ、先進事例の研究や交流を行う。
(例)「シンポジウム・テーブル交流会」「情報化プラザ」「インターネット利用研究会」など
(3)新商品・新事業・新業態開発活動
@ 新商品開発グループの組織化支援
各企業が持っている技術の融合化を図り、新しい商品の開発を目指す研究会を組織化し、活動を支援する。
(例)「LSP研究会」など
A ニュービジネス研究グループの組織化支援
ニュービジネスの創出を目指すメンバーを募り、
事業プランの作成や可能性の検討を行う研究会を組織化し、活動を支援する。
(例)「ベンチャー研究会」「マーケティング研究会」など
B 新業態開発活動の支援
新しい業態(小売スタイル)の開発に向け、具体的な事例研究や実施プランの研究を支援する。
(例)「あきんど塾」など
第2章 KIIC21の重点事業
第1章では、KIIC事業の重点施策と活動内容について述べたが、それを具体的事業との関連で整理したのが以下の表である。
1.インターネット活用促進支援事業
2.人的交流促進事業
第3章 KIIC21の事業運営方針
KIIC21の事業運営にあたっては、以下の重点方針に基づいて活動を推進する。
1.インターネット活用促進支援事業の方針
(1) インターネットのビジネス活用の支援
インターネットの普及に伴い、ビジネスへの活用が急速に進展している。KIICでは、先進的な事例の収集につとめ、特に経営者層に対しては情報化のメリットやインターネットの活用効果について理解を深め、経営戦略に生かせるよう、その啓蒙・普及に注力していく。
(2) インターネットの活用段階に応じた支援
インターネットの利用者については、その活用段階や習熟度合いにかなりの格差を生じてきている。したがって、できるだけその活用
段階に応じた形で支援できるようにしていく。
また、対象者を経営者、従業員、推進者に分け、それぞれの役割に応じて、インターネットや情報システムの活用に対するより実践的な支援を行う。特に、経営者層に対する支援を強化する。
(3)ホームページ、メールでの情報伝達・交流の促進
インターネットの活用促進を図っていくためには、実際に活用する場面を多く作り、その活用イメージを持ってもらい、その効果を実感してもらうことが肝要である。その観点から、情報の提供・伝達・交流を電子メールやホームページにできるだけ移行し、その活用を促進していく。
また、会員企業自らがホームページの立上げ、更新ができるように支援をしていく。
2.人的交流促進事業の方針
(1)会員交流活動における「会員主体の運営スタイル」の確立
既述の通り中小企業の形態が多様化する中で、会員がKIICに求めるニーズも自ずと異なってきている。これらのニーズに、より的確に応えていくためには、これまで以上に会員が主体的に会員交流事業の企画・運営に参画していくこと、すなわち「会員主体の運営スタイルの確立」が求められてきている。また、そのことにより、KIICが魅力あるものになり、会員の満足度も向上していくと考えられる。
具体的には以下の課題に取り組む。
・各種会員交流・研究部会にそれぞれ部会の世話人を決め、部会の
企画や運営に積極的に参画していただく。
・会員に1つ以上の交流・研究部会へ参加してもらうことを目指す。
(2)各種交流会・研究部会活動成果の普及・展開
各種交流会・研究部会の活動成果を発表する場を設け、その成果を
広く府内中小企業に普及・展開していくことにより、KIICの活動
内容をPRしていく。
(3)新商品・新事業・新業態開発活動の支援
相互交流活動・事例研究活動は、これまでも様々な形で展開してき
たが、今後は特に新事業創出の観点から、より実践的な人的交流活動
に注力していくことにより、新商品開発・新事業開発・新業態開発な
どを支援して行く。
3.会員事業の目標
会員事業については、魅力ある事業運営に努め、次の目標(3年以内)を目指して活動する。
・会員のインターネット利用率100%
・会員のホームページ立ち上げ率100%
・会員の部会加入率50%以上
・企業・団体会員数300社
参考:2000年1月末現在224社
4.KIIC21事業展開のための課題
(1)会員の拡充・強化
@会員による会員の拡充策の策定
・会員が会員を紹介、拡充する仕組みを検討
・会員の意見を反映させるしくみの検討
A 会費体系の見なおし
・ダイヤルアップ会員の会費の見直し
・企業規模別会費制の検討
(2)財務体質の強化
@広報資料の電子化
・HPやメールによる発信の検討
A収益事業への取り組み
・会費徴収型オープン研修の企画
B事業所経費の削減
・事業所の縮小または移転の検討
(3)事務局体制の強化
@長期的視野に立った人材の確保
・ノウハウの蓄積、会員との人的なつながりの強化
A外部の専門スタッフの確保と連携強化
(4)新規事業への取り組み
@京都の産業情報ネットワークの検討
・京都における中小企業の優秀な産業技術を広めていくための
方策について検討していく
A他団体との連携強化
B国・府・市町村との連携強化
(5)PRの強化
@ホームページの充実
A他団体でのPR
Bセンターガイドの作成
参考資料1:KIICの役割と機能
(1)設立趣旨(寄付行為)
この法人は、科学技術等に関する内外情報を機能的かつ効率的に創出・提供することにより、京都における近代工業の経営基盤を強化し、もって中小企業の振興を軸とした地元産業の健全な発展を図り、地域社会の向上に寄与することを目的とする
(2)公共サービス機関としての位置付け
<平成11年京都府商工行政施策の大綱より >
「企業内LANの急速な普及やインターネットによる企業のホームページの情報発信などものづくり部門を含めた産業の情報化の進展によって、情報基盤の整備や情報化の一層の進展が求められている。このような状況に対応するため、財団法人京都産業情報センターを拠点として、府内全域での支援機関ネットワークの整備や個別企業・商店の情報化支援などにより、京都産業の情報化を推進する。
<京都市産業観光局産業振興課方針より>
中小企業の知識集約化、高付加価値化を進めるために設立された「(財)京都産業情報センター」に対し、その事業活動の円滑な推進を図るための指導と助成を行っている。また、(財)京都産業情報センターを主軸とした産業情報のデータベース構築及びネットワークシステムの構築の推進をはじめ、高度情報化社会に的確に対応できるように本市産業の支援・指導を行っている。
参考資料2:ACT21の内容と評価
ACT21:平成7年7月に作成された中期事業計画(京都府知事に答申)
(1)基本方針と事業展開の方向
<基本方針>
マルチメディア時代を迎えるにあたり、高度情報化に迅速に対応できるよう支援する
☆ マルチメディア対応を考えた京都産業の情報化の推進とグローバル化
☆ 府全域への情報提供と情報化レベルにマッチした提供手段の確立
☆ 中小企業のニーズにマッチした魅力ある情報の創出・提供・交流
☆産業情報資源の交換機能の充実
<事業展開の方向>
●推進軸の方向 … 情報ネットワーク
●情報を交流させる方向 … ヒューマンネットワーク
●情報を耕す方向 … 相談ネットワーク
●情報を発信する方向 … グローバルネットワーク
(2)内容と評価
@ 情報ネットワーク
インターネットの急速な普及に対応し、パソコン通信・FAXなどによる従来の情報ネットワークからインターネットによる情報ネットワークづくりへと重点が大きく転換。それに伴いインターネットダイヤルアップ接続サービス、インターネットによる情報発信支援、京都インターネット利用研究会による研究・交流活動などが活発に推進されるようになった。
A ヒューマンネットワーク
会員交流事業として各種研究会・交流部会が設立され、その充実が
図られてきた。また、異業種交流事業においては、京都府異業種交流
会連絡会議の事務局を担当し、「異業種京都まつり・テーブル交流会」
等のイベントを開催するなど府内の異業種交流活動の活性化が図られ
てきた。
B 相談ネットワーク
「小売商業支援センター」による商店活性化に向けた個別相談事業や中小企業総合事業団からの受託事業である「エネルギー使用合理化設備導入促進事業」などの相談事業が定着してきている。
C グローバルネットワーク
アジアの経済危機などの影響により、海外視察団の派遣は、必要性が薄れるとともに、インターネットの急速な普及により海外情報の収集が容易になり、その機能は縮小。
KIIC21策定委員会名簿
委員長 | 村田 泰隆 | 理事 | 椛コ田製作所 代表取締役社長 |
副委員長 | 辻 理 | 理事 | 潟Tムコインターナショナル研究所 代表取締役 |
委員 | 波多野 進 | 理事 | 京都学園大学経済学部 学部長 |
委員 | 熊田 泰彦 | 葛椏s銀行 専務取締役 | |
委員 | 中沼 壽 | 評議員 | 中沼アートスクリーン 代表取締役社長 |
委員 | 上坂 清 | 評議員 | 西日本電信電話梶@京都支店長 |
委員 | 樋爪 保 | 四条繁栄会商店街振興組合 理事 | |
委員 | 木下 義次 | 評議員 | 木下電子工業 代表取締役社長 |
委員 | 荒木 武彦 | 星和情報システム 代表取締役社長 | |
委員 | 阿部 聡 | 理事 | 京都府商工部産業推進課 課長 |
委員 | 石田 逹 | 理事 | 京都市産業観光局商工部産業振興課 課長 |
委員 | 扇谷 紳一 | (財)京都産業情報センター 事務局長 | |
事務局長 | 稲田 文義 | (財)京都産業情報センター企業振興部 部長 | |
事務局 | 児玉 清 | (財)京都産業情報センター情報化推進部 部長 | |
事務局 | 田中 滋 | (財)京都産業情報センター企画総務部 次長 | |
事務局/TD> | 巽 健次 | (財)京都産業情報センター企業振興部 部長代理 | |
事務局員 | 鳥井 浩三 | 経営コンサルタント(中小企業診断士) |