伝統工芸〜モダニズムの極致
 

■ 尊円(そんえん)親王と大覚寺結夏衆僧名単(だいかくじけちげしゅうそうみょうたん)


伏見天皇の第5子として生まれ、14歳で出家して東山の青蓮院門跡となる。若くして能書家としての誉れ高く、世尊寺流に学んで独自の和様書風を確立した。「大覚寺結夏衆僧名単」は、建武2年(1335)嵯峨の大覚寺で行われた夏安居(げあんご)に参列した僧侶の名前を記したもの。どっしりと重量感がありながら、左右のバランスのとれた筆致は、小野道風や藤原行成らの書法を意識したものである。廃れつつあった和様書道に息を吹き込み、青蓮院流(御家流、粟田流)と呼ばれる大きな書流を形成した功績は大きい。尊円親王の明快で分かりやすい筆跡は、現代書道の教科書などに採用されることが多い。