伝統工芸〜モダニズムの極致
 

■ 池大雅(いけのたいが)と飲中八仙歌屏風(いんちゅうはっせんかびょうぶ)


江戸中期の文人画家であり、書画の分野でも傑作を残した人物。多才でありながら、その人となりは天真爛漫、逸事奇行も多く伝えられる。「飲中八仙歌屏風」の署名に「酔書」とあるが、本当に酔いながら書き上げた作品であるとか。唐様を踏襲しながらも、気負わず楽しげで、ときには大きく、小さく書き連ねた筆致は、何ものにもとらわれない自由人・大雅の人柄をよく表していて面白い。八曲一隻の屏風であるが、一枚一枚が独立した作品であるかのようだ。大雅が用いた号も、本屏風に用いられている三岳道者、また九霞山樵や大雅堂など、作品に応じてさまざまに使い分けているのがいかにも反骨人らしい。