伝統工芸〜モダニズムの極致
 

■ 京象嵌

金属や木材などの生地に、金銀や赤銅をはめ込んで鮮やかな模様を刻んでいく象嵌。その歴史は古く、シリアのダマスカスで生まれ、日本には飛鳥時代に伝わったとされる。安土・桃山時代の正阿弥(しょうあみ)家や埋忠(うめただ)家が名高いが、中でも埋忠明寿(うめただみょうじゅ)という人は刀剣の象嵌色絵に巧みで、古今の名工とうたわれた。京象嵌は、わずか1ミリの生地のすき間に微細な溝を彫り込み、金銀を一つひとつ鎚で打ち込んでいく手法をとることから「布目象嵌」とも呼ばれる。シルクのようになめらかで繊細な品格が魅力で、現在でも室内調度品や徽章、ネクタイピン、ペンダントなど幅広い用途に使用されている。