伝統工芸〜モダニズムの極致
 

■ 京うちわ

うちわそのものの歴史は古く、高松塚古墳の壁画などに見えるように、かつては装飾用として貴人たちの間で使用されていた。また、戦場で采配を振るう軍配として用いられたこともあったという。京うちわとしての技法が確立されたのは、南北朝時代(1336〜1392)になってから。多数の細い竹骨を放射線状に並べた地紙面に、後から柄の部分を差し込む「差し柄」と呼ばれる独特の技法によって作られる。安土・桃山時代以降になると、土佐派や狩野派の巨匠たちがうちわの絵柄に妙意を用いて「都うちわ」の基礎を築いた。絵柄のデザインは秀麗優雅。版画や手染などの技法が用いられるほか、現代では透かし彫りを施した「すかしうちわ」が人気。