伝統工芸〜モダニズムの極致
 

■ 京扇子

日本の伝統産業の多くは大陸から伝えられたものだが、扇子は京都発祥の純国産品である。平安初期、紙の代わりに用いた薄い檜板を重ね綴ったものが「檜扇」。やや遅れて、竹と紙で「紙扇」が作られ、それに金銀彩色豊かな色絵が工夫されて、京都らしい典雅さが加わった。15世紀になると、中国やインド、ヨーロッパなどにも伝わり、フランスのルイ宮廷を派手やかに演出したという。京扇子の製造は「扇骨加工」と「扇面加工」の二部門からなり、いまも完全分業制を採用。竹細工や地紙合わせ、箔押し、絵付けなど、各工程において熟練職人たちの絶妙の手技がさえ渡る。京扇子は美術工芸品としての評価が高く、茶道や香道、舞踊などさまざまな伝統文化を彩る必須アイテムとなっている。