伝統工芸〜モダニズムの極致
 

■ 京人形

その昔、人形に災厄や汚れを移して雛形として水に流したのが始まりといわれる。平安時代になると、華やかな宮廷を中心に技法が成熟。節句のひな人形や五月人形、金箔などであでやかに彩った嵯峨人形、大名への返礼用に重宝された御所人形などが名工たちの手によって生み出された。京人形の世界ではいまも分業制が守られており、頭師や手足師、小道具師、髪付師がそれぞれ人形の頭や手足などの制作を担当する。それらの部品を組み合わせ、衣裳を選んで総仕上げをするのが着付師の役目。平安朝の有職故実を踏まえて、人形の表情や衣裳の細かな部分まで忠実に再現されたものを有職人形といい、単なる伝統工芸の枠を超えて芸術的な評価が高い。