伝統工芸〜モダニズムの極致
 

■ 北山丸太

川端康成の名作「古都」にもその情景が描かれた北山丸太。応永年間(1394〜1428)に生産が始まり、茶の湯の隆盛とともに数寄屋建築の茶室の床材として用いられるようになった。30〜40年という長い年月をかけて育てられた杉木は、北山を流れる川砂で渋皮をむかれて丹念に磨きあげられる。年輪が緻密で通直真円、なめらかで玉のような木肌の柔らかさが大きな魅力だ。北山丸太のもう一つの特徴は、「絞り」と呼ばれるシワのような木肌の模様。杉木の表面に竹やプラスチック片などを巻きつけて作り出されるもので、透き通るような白木の美しさと相まって、芸術的な雰囲気をかもし出している。