伝統工芸〜モダニズムの極致
 

■ 京表具

表具とは、素材となる裂地や和紙を糊で裏打ちして、掛け軸や襖、障子、屏風などを仕立てる技術である。その歴史は仏教伝来とともに伝わった経巻の表装に始まるといわれ、室町時代になると同朋衆と呼ばれる職人たちが、書院や方丈を飾る書画の選定や表装デザインに関わるようになった。江戸時代初期には鷹ケ峰の紙屋宗二という表具師が、唐紙を用いて本阿弥光悦や俵屋宗達らの表装を担当するなど活躍した。現在では、文化財や伝統資材の修復技術として欠かせない技術となっている。京表具はそれ自体が主役ではなく、美術品の魅力を最大限に引き立てる脇役的存在である。決して派手さはないが、いぶし銀のような独特の存在感をもった伝統技術といえるだろう。