最初 前へ 次へ 最後 インデックス

8 / 14

●現在の日本のDM医療に欠けているもの1

それではこうした状況の中、現在自分自身が受けておられるDM医療に「満足している」方、ちょっと手を挙げてみてください。なるほど。それでは「どちらでもない」かた...。最後に「満足している」方。はい、ありがとうございます。

このように、現状に満足しておられない方が確実におられる訳です。2型への対応も含めてですが、これだけ多くの医師が時間と労力を費やし、1兆円を超える医療費を投入しながら、なお満足が得られない現在の日本のDM医療に欠けているものとは一体何でしょうか。

まず一つ目として
・社会一般における病態の正確な知識の普及・啓蒙
「DMとは、糖代謝不全による全身血管合併症である」と正しく認識されているDMの方が、日本にはどのくらいおられるでしょうか。毎日、新聞や週刊誌で「糖尿病」の文字を見ない日はありませんが、意外にもその病態を正しく理解されている方は少ないのが現状です。また「中高年が食べ過ぎでなる病気」と思われているのだとしたら、それも全く違います。今の日本人は、近年の食生活と生活習慣のドラスティックな変化により、簡単に高血糖症になってしまいますので、そうした旧来の認識も当てはまりません。先ず、糖尿病自体の理解が間違っているのです。

二つ目。
・超長期加療が必要な慢性疾患を考慮した医療制度
になっていない。今の医療制度は、急性期の感染症に対しては比較的有効に機能するのですが、1型DMのように長期間に渡って加療が必要な慢性疾患のことはあまり考慮していません。例えば、
   健常者: 7万4200円(平成11年度一般診療医療費平均30〜34歳)
  1型DM:48万7536円(“IDDM-Mailnet”2001年8月調査47名平均33歳)
のようになります。今は18歳未満、地方自治体によっては20歳未満は小児慢性特定疾患研究事業制度がありますので、医療の自己負担については国もしくは地方自治体が負担してくれていますが、それ以降は他の疾患同様、自己負担分は自分で支払うこととなります。