9月22日(日) 14:30〜 
体験談「IDDMの自立をめぐって」
3.「陽気にいこう」
福岡赤十字病院 溝上 澄夫 先生
福岡盲学校   釜掘 茂美 先生

お2人ともIDDMでも医師でもありませんが、仲村先生にヘルパーとしての参加を依頼され、気がつけばキャンプのヘルパーの中心的存在になっていたとか。今回は、バイタリティ溢れる溝上先生と釜掘先生に、歌を交えながら博多弁での講演を。


初めて参加したときにね、子供たちは布団の上げ下ろしをヘルパーにやってもらっとったとですよ。そしてそれが当たり前のようになってました。皆さん、IDDMだからって布団上げただけで低血糖になります?(会場大爆笑) そんなもん、ならんとですよ。どう考えてもこれはおかしいので、「自分でできることは自分でさせる」よう、次の年からどんどん改善するようにしたとです。したところ、いつの間にか抜けられんようになっとったとです(笑)。

さて、先ず私たちがキャンプに参加するときのスタンスですが、自分が楽しめないキャンプが子供に楽しい訳がないを基本にやっちょります。先ず自分が楽しむ。これが大切です。

また、修学旅行に参加させてもらえない子供が名古屋の下宿に遊びに来たこともあるとです。


 「先生、明日遊びに行ってええか?」
 「ええけど、お前学校は?」
 「修学旅行で、僕は行かせてもらえんかった...」
 「よっしゃ、遠慮せんと来い来い!」

医者でもないIDDMでもない自分たちが取り組んで来られたのは、こうして子供がしたって来てくれるからです。

さて、以前こんなことがあったですよ。IDDMの子が、私の目の前で親をなじるわけです。


 子:「あんたが俺をこんな身体に産んだんやろうが!」
 親:「!...」(絶句)
 私:「こらっ!親に向かって何てこと言うとか!」
 子:「あんたには判らんと!」

確かに自分はIDDMではないのでIDDMのことは判らんです。判らんですが、判らんながらもどこまで子供の立場に肉薄できるかがポイントです。「他人は冷たい」ことを、もっと子供らに判って欲しいです。我々は「他人であること」を最大限活用するようにしちょります。

で、私はこう言うてやるとです。

 私:「おぅ。判るわけなか」

勿論これはIDDMのことについてよーく勉強した上で言うとです。本人よりもよく勉強した上で「判るわけがない」と言う。でないと説得力もくそもないとでしょ。しかしこうやって親を泣かせると、そこから親と子の関係が変わりますね。実際に親が泣くと「ああ、やっぱりこれは言ってはいかんかった」と実感できるんです。これも大事な体験です。

それから、恋愛・結婚の際にどうしてIDDMのことが打ち明けられないのかとよく思うとです。そしてそのときに泣いてしまったら「気持ちに流されてしまう」のでダメ。日頃からキツイときにも耐えられるようになっておかないといかん訳ですが、私らはそのための訓練をしていると思っちょります。

結婚するとき、相手の親からめちゃくちゃに差別された子供がおりました。しかし、私らがキャンプで徹底的に鍛え上げてきたせいか、そいつは根性すわってたとですね。主治医から相手の親に説明してもらっても、向こうは「それは主治医だから肩持つのは当然でしょう」とこちらの言い分を頑として聞いてくれんかったですね。したらその子は相手の親に土下座して「結婚させてくれ」と頼んだですよ。さすがに見兼ねた結婚相手の男が彼女を止めようとしたんですが、「あンたは黙っとり!」と一喝(笑)しよりました。男は「はい」(笑)とおとなしくなっとったそうです。

いろいろと無茶なこともしよりますが、2人とも子供らにはこのキャンプを「自分のことをもう一度見直す」場としてもらえるように頑張っちょります。そして、ユーモアを忘れず、「明るく陽気に」にいきたいとです。(「陽気にいこう」の歌を会場の人と一緒に)。




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